▼ 2009/08/23(日) 夏遠からじ Part5
おひさしブリーフ(寒っ)
いやー6月いっぱいタイトな仕事ってのが7月中旬まで延長され、その後急遽入ってきた仕事に引っかき回され、最終的に梅雨明け後の猛暑酷暑熱帯夜でやる気が失せ(爆)
そんなわけで、広告と言う名の草が生えてるタイミングでやっとディキャンプ解決編w
やっと物を書く行為を落ち着いて出来るようになって参りました。
それではどうぞ!
ディキャンプにやってきた、雛見沢分校の面々。
まもなく新委員長・前原圭一のカレーが完成しようとしていた。
しかし、雛見沢分校唯一の教師・知恵留美子は平素の知的で冷静な普段の状態と裏腹にカレー好き、カレー崇拝者、カレーの伝道師、カレーに関してのみ暴走するという悪癖も併せ持っていた。
圭一に対し恋心を抱く仲間達、園崎魅音、竜宮レナ、北条沙都子、古手梨花、羽入の5人は圭一手作りカレーを死守するべく3段階の防衛ラインを引いた上で、魅音の双子の妹・詩音の手も借りて知謀策謀を張り巡らしていた。
今、まさに圭一によってカレールーのパックが開けられようとしている。
カレー防衛作戦の火蓋が今、切られようとしていた。
「知恵先生、今、少しお時間よろしいですか?」
「なんでしょう?」
まずは詩音の強引な命令によって、詩音のボディガード的存在の葛西辰由が知恵に声を掛ける。
「実は……」
「むっ? このかぐわしい香りは……すみません、また後でお願いします。」
あっさりと葛西を振り切って知恵はカレーの匂いのする方向へ向かう。
「あ、あの? 知恵先生?」
この間、僅か数秒。
まさしく梨花の読み通りに葛西が稼いだ時間はせいぜい、圭一がカレールーのパックの蓋を取り去る程度であった。
呆然と佇む葛西。
葛西辰由、何もできず敗戦確定。
「知恵先生! 一つとってもとっても重要なお願いがございましてですね」
圭一の父、伊知郎が知恵の前に立ちはだかり、声を掛ける。
「すみません。ちょっと今重要な事がありますので後ほど!」
あっさりと伊知郎をすり抜けようかとする知恵であったが、伊知郎も一歩も引く構えを見せず、知恵の片腕を掴んで食い下がる。
「いえ、今でなければできないお願いがあるんです! 待ってください! ぜひ、ぜひあなたをモデルに新作を描きたいのです!」
「すみません。後にしてくださいませんか?!」
「そう言わず、是非拙作のモデルに! 知恵先生でなければお願いできないんです! ぜひともに、ぷべらっ!」
一分ほど時間を稼いだであろうか、伊知郎の粘りは知恵の実に腰の入ったキレのあるボディへのフック一発を呼び込んだのであった。
真夏の舗装路の上のひからびたカエルの如く、ぶざまに地面に這う伊知郎。
前原伊知郎、ボディへの右フックにてKO。
「あ、知恵先生! ちょっと圭一の事でご相談がありまして」
「すみません。少々急いでおりますので、後ほど改めてゆっくりと」
「まぁまぁ、そうおっしゃらずにちょっとお付き合いくださいな。 こんな所ででもなければ知恵先生とゆっくりお話もできませんし」
レナに乗せられた圭一の母、藍子が粘る!
急ぎ早にカレー鍋へ向かって突き進もうとする知恵の前に巧妙に立ちはだかり、その進軍を阻む藍子。
次々と藍子から掛けられる言葉を完全に無視もできず、進軍速度を落とさざるを得ない知恵。
数分の後、知恵が話に集中していない事を悟って、一端引き、後から改めてもう一度と考える藍子。
知恵が藍子から解放された段階で、圭一はパックから取り出したルーを割り、煮えている鍋への投入準備に掛かっていた。
「富田さん、岡村さん、よろしいです? 参りますわよ!」
「うう、知恵先生の目が、カレー魔神の目だよ……傑……短い付き合いだったけど、君と友達になれて良かったよ……」
「大樹……短い人生だったね。けど、後悔はしてないよ! ボクは古手を守って見事に散ってみせる!」
「何を縁起でも無いことをおっしゃってますの、二人共! 手動式トラップ連続発動!!」
沙都子が仕掛けたトラップが順番に作動していく。
降り注ぐ砂利、薙ぎ払ってくる木の枝などの数々のトラップが知恵に向かって襲い掛かる。
僅かな時間によくこれだけ仕込んだ物だと思わせるほどの簡易落とし穴や迎撃トラップの数々。
沙都子以外にも梨花と羽入も打ち合わせに従ってトラップを作動させる。
しかし、それらのトラップの全てをまるで意に介さないかの如く知恵は石つぶてや砂利をはじき返し、薙いでくる枝をもへし折り突き進む。
超人的なまでの動きで足下のトラップを回避しつつ、どこから取り出してきたのか不明なT型定規やチョークで飛来するもの全てを迎撃していく知恵。
「ふわ~ん、もう手持ちのトラップが尽きましてよ~」
半べその沙都子を意に介さず、第一次防衛ゾーンを難なく突破する知恵。
ここまで所用時間3分。
「羽入、なんとかしなさいよ!」
「無理なのです! 知恵のあの顔を見たら手出しできないのです! 怖いのです! あうあうあうあうあう~」
第1次防衛ライン壊滅。
圭一は大鍋と中鍋にカレールーの投入をなんとか終えていた。
「以外と沙都子のトラップも通用してないね……まいったなこりゃ……詩音、真剣に頼むよ」
「わかってますよ。お姉と可愛い沙都子の為ですからね。ちょっと荒っぽくなっちゃいますけど、やりますよ! 園崎詩音はやりますよ!」
脇のホルダーからエアガンを取り出し構える魅音とバチバチと異様な音を立てるスタンガンを構える詩音。
「いっくよ~っ!」
「いきますよ!」
一斉に知恵に襲い掛かる魅音と詩音。
魅音のエアガンの弾丸にはチョーク弾で、連続して突き出される詩音のスタンガンにはT定規で対抗する知恵。
「カレーに赴く私を阻もうとは園崎さん達! 仕方ありません……埋葬されるのを覚悟なさい!」
一瞬すざまじい殺気が漂ったかと思った刹那、連続チョーク弾を受け、崩れる魅音。
スタンガンをT定規で叩き落とされ、これまた同じように連続チョーク弾を受け、倒れる詩音。
「む……無念……きゅう」
「さ、さとしくぅ~ん……がくっ」
第2次防衛ライン壊滅。
「早く、早く煮えてくれ、カレールー! これ以上の被害はもうたくさんなんだよっ!」
「大丈夫だよ。圭一くんと圭一くんのカレーはレナが絶対に守っちゃうんだよ、だよ。知恵先生のことは大好きだけど仕方無いよね……本気のレナはただの可愛い女の子じゃないんだよ、だよ!」
最終防衛ライン。
肩幅程度に足を開き、体重を下方に落としつつ腰を入れて構えるレナ。
「竜宮さん……あなたもですか……仕方ありません、カレーの為にあなたを排除します」
「はう、知恵先生の目が本気で怖いんだよ、だよ……だけどレナは負けないんだよ~!」
目にも止まらぬ早さで連続して繰り出されるれなぱん。
スウェー、ダッキング、ブロッキングと全てのれなぱんを人間業とは思えぬ避け方で回避する知恵。
どんどんとれなぱんの回転数が上がっていくが、それをほぼ平然と避け続ける知恵。
一陣の風に舞い上がった砂が一瞬知恵の視界をふさいだ刹那、レナの最終兵器が発射される。
至近距離から全力を込めて放たれるRFI、レナフラッシュインパクト。
れなぱんのそれが機関銃の連射ならば、RFIはバズーカ砲の一発。
常人ならば、一撃でKOされかねないほどの強烈な一発である。
が、しかし……知恵は平然とRFIを正面から掌で受け止めていた。
「はう~、最高の一発だったのに~」
「いいパンチです。早さも踏み込みも狙いも正確でした。ですが正確故に狙いがはっきりしていれば受け止める事は容易。残念ですがあなたのパンチは私には通用しませんよ」
一瞬、衝撃を受けたように反応した後、一気に脱力していくレナ。
「圭一くん……ごめ……ん……ね……」
そっとレナを横たえる知恵。
最終防衛ライン壊滅の瞬間であった。
と、同時に圭一が大声を上げる。
「みんな~、カレーできたぞ~!! さぁ昼飯の時間だ集まれ~!!」
その大声で一瞬、動きが止まる知恵に圭一は1枚の皿にこんもりと盛られたカレーライスを突き出す。
「あ、これ知恵先生用です。ちょっと手間が掛かるんでこれ一杯だけですからね?」
「まぁ……いい香り……市販のルーにしては見た目はまずまずですね」
「はい。一応色んなスパイスを良くわからないまでも後から追加で入れてありますから」
そうこうするうちに、他の分校の生徒達が集まってくる。
気を失っていた魅音、詩音、レナも梨花や羽入によって気付けされ復活してきた。
葛西に活を入れられて復活した伊知郎やそのほかの親達も集まってくる。
「ふ~、夕べおふくろに聞きながら必死で調合しておいた知恵先生専用スパイスセットが最後に役に立ったぜ! みんなも済まなかったな。特に魅音、詩音とレナにはだいぶ危ない橋を渡らせちまったし」
「あいたたたた、な~に、少しは時間稼ぎができたんならおじさんも役には立ったって事だよね? レナほどじゃないけど、結構頑張ったな、あたしも」
「いたたた、お姉や沙都子の為とは言え、キツいですね、ほんと知恵先生の戦闘力は」
「はう……まだちょっとクラクラするんだよ、だよ」
少々気恥ずかしそうに盛りつけたカレーライスを三人に手渡して行く圭一。
「お、沙都子達もありがとな。おかげで無事完成したよ、ほれ、沙都子の分と梨花ちゃんの分。傑と大樹の分と」
「ありがとうございますですわ」
「ありがとうなのです、にぱー☆」
「ありがとうございます、前原さん」
「うわー、美味しそうだなぁ! ありがとうございます、前原さん」
圭一は続いて、中鍋からカレールーをすくい、盛りつけたカレーライスを羽入に手渡した。
「羽入は辛いの苦手だって言うからさ、小さい子達用だけど、甘めの奴も作っておいたから、ほれ」
「あう、ほんとうですか? 圭一はやっぱりとっても優しいいい人なのですよ」
大きな鍋は大人や上級生用の中辛ルーで作った物で、小さな鍋は低学年の子と羽入用に甘口カレールーを使い、更にすり下ろしたリンゴやはちみつを投入したかなり甘めのカレーであった。
大鍋のカレールーに特製スパイスセットのスパイスを振りかけた物が知恵専用カレーであった。
バーベキューの肉や野菜と共に圭一の作ったカレーと飯盒で炊いたご飯による昼食は皆の笑顔と笑い声が溢れるものとなった。
「小さい子用に別鍋で仕込んだカレーか……圭一がそこまで気を配れるようになっていたとはな」
「そうですわね。ちゃんと人の事を考え、全体の事を考え……あの子がここまできちんとするようになっていたなんて、気が付いてなかった私達は親失格かしら?」
「そうかもしれん。が、こうなってみると圭一を連れて雛見沢に移って来て本当に良かったな」
感慨深げな前原夫妻であった。
キラキラと夏の強い日差しが反射する小川の水面に、吹き抜ける爽やかな風が波紋を作っていく。
ワイワイと子供たちの声が響き、大人達の笑い声もそれに混じる。
平和で暖かく楽しい時間。
圭一はこんな時間をもっともっとみんなで一緒に共有できればいいなと思っていた。
そんな圭一の横顔を熱の籠もった目で見つめる、魅音、レナ、沙都子、梨花、羽入の5人であった。
「さぁ~て、メシ食い終わったら後片付けして分校に帰るぞ~!」
「おー!」
ディキャンプ遠足は大成功だった。
分校の生徒もその父兄も皆、楽しげにその話をしながら自宅に帰っていく。
まもなく、綿流しのお祭り。
今年はいつも以上に楽しいものになるだろうと誰もが思っていた。
昭和59年、雛見沢はいつも以上に平和で穏やかであった。
了
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1: 砂漠の塵 URL 2009年08月26日(水) 午後9時37分
どーもストーカーですww
偶然だったんですよ、移動中に「あ、そーいえばそろそろ軍示様の新作上がってっかな?」と思って覗いてみたら、遭遇してしまったんですよー♪
相変わらず素晴らしいです。知恵先生の暴走サイコーでしたっ♪