ようこそゲストさん

伏龍鳳雛's 二次創作

2008/09/15(月) 焦燥

はてブ情報 はてブに登録 はてブ数 2008/09/15 20:48 部活メンバー伏龍鳳雛

コンセプトテーマ曲:「踊り子」 作詞:sona 作曲:村下孝蔵 歌:村下孝蔵

昭和57年、綿流しのお祭りまであと少し……壊れていく悟史の精神状態を綴ってみました。

眠れない……身体はもうこれ以上無いくらいにクタクタに疲れてるのに……
身体だけじゃない、精神的にだって僕はもう限界じゃないのかと思うほどなのに……自分の呼吸音すらイライラを増幅させる気がする……

隣でぐっすり眠っている沙都子を見てもそうだ……そんな事を考えちゃいけないはずなのに……僕は今、一人になりたいと考えている……

一昨年のあの日、父さんと母さん、そして沙都子の三人は出かけて行った。僕は野球の試合もあったから朝、三人を送り出したんだっけ……そして帰ってきたのは沙都子一人きり……

あの日から僕の生活はどこかおかしくなってしまったような気がする。
子供二人きりでは、どこかの施設へ入れられてしまうかも知れないと思っていた。僕たち兄妹は叔父さんと叔母さんがやってきた事で沙都子とバラバラにならなくて済むことになった。そして僕はそれと引き替えに色んなモノを失ってしまった……

元々、父さんがダム推進派になっていた事で家を一歩出ると僕たち兄妹には冷たい視線に耐えなきゃ行けない日々が続いていた。それでも分校の中や家に戻ればそんな視線は気になったりはしなかった。

それが叔父さんと叔母さんといっしょに暮らすようになってから、家の中ですら僕は気の休まる場所がない生活になってしまった……

お父さんよりもずっとガラが悪く乱暴な叔父さんはよく叔母さんとモメていた。そして叔父さんも叔母さんもそのストレスを僕や沙都子で晴らそうとした……

1年もすると叔父さんは家に居ないことが多くなった。

最初は怒鳴られる回数が二人分から一人分に減った事がうれしかったっけ……けれど叔父さんが居ない事で叔母さんは以前よりもずっとずっと怒りっぽくなり、沙都子の反抗ぶりも強くなったせいで結局、叔父さんが居る頃と変わらない心を何かに蝕まれるような日々がやってきた。

沙都子は最後は結局、泣きながら僕の背中に隠れる事しかできないのに叔母さんに反抗することを辞めない……だから僕は沙都子の分まで叔母さんのいつ終わるのかわからない愚痴や罵声を聞かされなきゃならない。

だんだんと叔母さんは家事すらサボるようになり、掃除、洗濯や食料品の買い出しはもちろん、僕や沙都子の普段の食事や弁当作りさえすることはなくなっていた。
僕は毎朝洗濯物を干し、自分たちの朝食と弁当を作り、学校へ行き、学校から戻ると買い物に行き、夕食を作り洗濯をするといった生活をしなきゃいけなかった……買い物の無い日は野球の練習に参加したり、沙都子を連れて神社の裏山へ遊びに行ったりしてやっと少しだけ息抜きが出来た。

同級生の魅音は僕達に色々と良くしてくれる……部活を始めてくれたおかげで沙都子も僕も学校が終わっても真っ直ぐ家に帰らなくても良くなった。もちろん家でしなければならないことはたくさんあるけど、少しの時間でも沙都子が楽しそうに笑い、あの叔母さんの顔を見ないで済む時間が増えるのはうれしかった。
野球のマネージャーを幽霊マネージャーだって言いながら引き受けてくれて練習や試合の時には色々と世話を焼いてもくれる。

けど、そんな魅音も時々変だ……
仕方ないのかもしれない。元々、お父さんがダム推進派だったのは確かだけれど、皆から冷たい視線で見られたり無視されたりってされだしたのはお父さんが皆の前で彼女のお婆さんを罵倒した事が理由らしいというのは聞かされていたから。

普段は僕のよく知っている魅音だ。だけど、時々沙都子に対してとても厳しい目を向けている事に最近、気が付いてしまった……確かに沙都子は時々生意気な事を言ったりやったりする……それを僕がきちんと怒れないからかもしれないけれど……沙都子を睨んでる魅音の目はとても恐ろしくて……

転校してきた1学年下のレナも僕らにはとても良くしてくれる。

けれどそれらは全て、分校の中だけのこと……一歩分校を出てしまえば沙都子を守ってくれる大人は居ない……僕が沙都子の面倒を見て守らなきゃいけないんだ……

眠れない……

いつからだろう……時々歩いていると足音が一つ余計に聞こえる気がするようになってしまった……幻聴って奴なのかな?

眠れない……

あれはいつだっけ……そんなこともはっきりしなくなってきた自分に呆れながら僕はイヤな出来事を思い出す。
魅音が特におかしかったあの日の事を……

日直として花壇の水やりを終えて教室に戻ると、床に這い蹲るようにして沙都子が泣きわめいていた……周囲には落としたのか散らばったお弁当……そして鬼の形相で沙都子を怒鳴り散らしながら教科書やノートを振り上げて沙都子に投げつけようとしている魅音がいた……

沙都子の誕生日のプレゼントを買いたいからって相談した時はあんなに真剣に聞いてくれてバイト先を紹介してくれたりしたのに!

僕は反射的に二人の間に入り、声を荒げて魅音に抗議したっけ……僕に怒鳴られて魅音はすぐ、いつもの魅音に戻ってくれたけど……あとでレナに聞いたら沙都子が特別何か魅音を怒らせるような事をした訳じゃなかった……じゃぁなんで魅音はあんなに怒って沙都子に敵意剥き出しだったんだと思った

そして今日のように眠れなくなる日が増えはじめた……そして足音が余計に聞こえる日も増えていき、僕は分校でレナが心配するほどに疲れが目立つようになってきた。

レナが相談に乗ると言ってくれたから、話せる事だけ話した……足音が余計に聞こえるような幻聴が聞こえたり、夜眠ろうとすると誰かに見られてるような気がして眠れなくなる日があるって……レナは『それはオヤシロ様だよ』と言ってたっけ……
オヤシロ様……この小さな寒村のような雛見沢だけで奉られている神様……村に仇をなす者を祟ると言われている……ダム推進派だった父さんと母さんの事もオヤシロ様のせいだって言われていた。

だけど、僕も沙都子もそんなダム工事なんか無関係なのになんでなんだ?
なんで僕なんだ? 僕は無関係だっ! 僕は僕は……

レナは僕が余計な事を考えるからオヤシロ様が怒ってると言った……今の毎日が苦痛でそれから少しでも楽になりたいと思うのはそんなに許されない事なのかよ?!

眠れない……

叔母さんが居なければ……そんな事を最近では毎日考えるようになってしまった……沙都子さえいなければ……それも考える……
そんな考えの自分がイヤだ……今の暮らしがイヤだ……僕は……僕は……

眠れない……眠れない……

まるで写真の束をぶちまけたように色んな事がいっぺんに脳裏に浮かんで消えてを繰り返す……僕はどこかおかしくなってきてるんだろうか?

考えてはいけないことを考えてしまう……全力で下り坂を駆け下りてる時のようにその考えを辞めることが出来ない。

眠れない……眠れない……眠れないんだよ、くそっ、くそっ……

考えが良くまとまらない……
寝なきゃ……明日だってバイトがあるんだし……

叔母さんさえいなければ……
眠れない……

叔母さんさえ……
叔母さんさえ……

あぁ眠い……なのに眠れない……どこかで謝ってる声が聞こえる……謝るくらいなら謝らなきゃいけないような事はしなきゃいいんだ……

眠れない……叔母さんさえ居なければ……眠れない……

こんな生活は……もう……イヤなんだよ……
眠れない……

横になっているのに宙に浮いてふらふら揺れてる気がする……僕は……どうしたいんだ……

眠れない……叔母さんさえ居なければ……沙都子がいなければ……沙都子にプレゼント買わなきゃ……


名前:  非公開コメント   

E-Mail(任意/非公開):
URL(任意):
  • TB-URL(確認後に公開)  http://dtany.net/067/tb/