▼ 2008/12/16(火) 賽殺し編After~運命は偶然と必然~ 第4話
どんどん、初期構想からズレズレにズレて増えていく本作。
なんか気が付いたら連載になっておりますが(苦笑)
今回は前回の予告との間に1話挟んでみました。
「ひぐらしのなく頃にの二次創作と言いながら、某作のキャラは出るわ、圭一と真詩音しか出ないわで、どこがやねん!」状態が酷いのを作者は反省し、舞台をいったん興宮に移して、部活メンバーを登場させることといたしました(笑)
ま、しょせんは圭魅バカ一代な作者ですので若干、違和感があるかとは思いますが……
成長した梨花とかおかしなお嬢様言葉を使わない沙都子のセリフがお魎の雛見沢弁より悩んだというのはナイショだ(笑)
それではどうぞ。
「ただいま帰りました~」
「おかえり~! 久しぶりだねぇ詩音、父さんも母さんも婆ちゃも待ってたよ。あんたもだけどあんたの連れてきた彼氏ってのを待ってたと言うべきか、にゃはははは」
「んもう! いきなりなんなんですか、恥ずかしいな、お姉ちゃんってば!」
「良いから良いから。ほれさっさと紹介する! と言ってもあたしは一回会ったことあるんだけどさ」
耳まで真っ赤にした詩音は自分の後ろ、玄関前に立っている男を魅音に紹介する。
「えっとえっと、あのあの……お付き合いすることにその、なった、圭ちゃん。前原圭一さんです」
「えっと、その節はお世話になりました。そ、その詩音さんとお付き合いさせて頂いてる前原圭一です」
おずおずと前に出て頭を下げる圭一。
「まぁ、玄関に立ったままってのもなんだから二人とも上がっちゃってよ。あたしよりよっぽど怖いのが手ぐすね引いて待ってんだからさぁ!」
「もう、脅さないでって言ってるでしょ、お姉ちゃんってば!!」
魅音は詩音と圭一を両親と祖母の待つ居間へと案内する。
「うー緊張する……えっとどっかおかしいところはな、ないよな? よ、よしっ!」
「大丈夫ですよ。安心して下さい。おかしな所はないですし、お父さんもお母さんもお婆ちゃんも優しい人ですから」
居間の入り口で正座して、魅音が戸を開けるのを待つ圭一と詩音であった。
「お待たせの詩音の彼氏登場だよ~ん」
「これ、魅音! なんじゃいその紹介は! ダホがっ!」
「そうだよ、魅音。これじゃ感動のご対面もへったくれもないじゃないかいっ!」
「……」
居間には奥の上座に園崎家現頭首である魅音詩音の二人の祖母、向かって右に魅音と詩音の父、左に母が座っていた。
「お久しぶりです。詩音、ただいま帰って参りました。こちらは……えっとその……お、お付き合いしている前原圭一さんです。」
「初めてお目に掛かります。前原圭一と申します。このたび、縁合って詩音さんとお付き合いさせて頂いております。」
深々と正座のまま頭を畳に押し付けんばかりに伏して挨拶をする圭一。
「ま、顔あげんね。わしゃ詩音の婆のお魎じゃ」
「君の事は詩音からよく聞いておる、詩音の父じゃ」
「ほほぉ、詩音もなかなかいい男を連れてくるもんだね。あたしゃ詩音の母親やってる茜ってもんさ。よろしく頼むよ、前原圭一くん」
平伏したままで圭一は挨拶を続ける。
「急な申し出を快くご了承くださり、また本日お会いいただきましてありがとうございます」
少々あっけにとられたお魎達が口々に言葉を掛ける。
「とりあえず顔あげんね。そのまんましよったら畳にお前さんのでこの形が付きそうじゃ」
「ん、まぁこっちにきて座りなさい」
「ほれほれ、堅い挨拶はそろそろ終わりにしとくれ。でないとあたしらも肩が凝っちまうよ」
ようやく、圭一は顔を上げ、詩音と共にテーブルに着く。
もちろん、正座をしたままではあるが。
「ふん、なかなかええ目つきしちょる。礼儀もちゃんとしとるしの」
「圭一くんと言ったな。まだ学生だと聞いておるが、将来は弁護士希望だったかな?」
圭一は父親の質問に答える。
「は、未だ学生の身です。司法試験合格を目指して日々励んでおります。」
茜が緊張する圭一をリラックスさせようと少し砕けた物言いで話しかける。
「まぁしかしおどろいたね。結婚しようって訳でもないのに挨拶なんざぁ、どれだけお堅いんだと思っちまったよ、あはははは」
「「け、けけけけけ結婚?!」」
茜の結婚という言葉で二人は爆発でもしたかのように一挙に真っ赤になる。
「で、いつ詩音を嫁に貰ってくれるんだい?」
「いい、いつと言われましてもその、まだお付き合いさせいただいたばかりですし、その、あの」
あわてて言いよどむ圭一を笑いながら茜は続ける。
「まだってことはその気が無い訳じゃないんだろ? そもそもウチの娘に手出して嫁に貰わないなんて言ったら、あたしも婆さまもポン刀抜くことになるからねぇ」
ぎょっとして固まる圭一。
「おい、茜。あまり脅しちゃいかん。ほれみろ、圭一くんがおびえておるじゃないか」
「あっはっはっは、ごめんよ。ちぃとばかり覚悟のほどを確かめてみたかったのさ」
「ふん、しゃもない……その気も無いようならわざわざこげな田舎までくりゃせんわ……」
腹を抱えんばかりに楽しそうに笑う魅音。
「ありゃりゃ、詩音の旦那さんになるのは確定しちゃったよ、こりゃ……これから大変だよぉ、圭ちゃん? あ、ごめん詩音がいつも『圭ちゃんが~』、『圭ちゃんは~』って言ってるからうつっちゃったよ」
「お、お姉ちゃんっ!!」
満足げに微笑みながら、茜が続ける。
「けどね、実際あんたと知り合ってから詩音はずいぶんと明るくなったったんだよ? 元々はおとなしい子で自分の意見なんか言うのをあたしら家族だってほとんど聞いた事がなかったんだ。そいつが楽しそうにあんたの話をしてくれたり、自分の事のように教えてくれる。あたしらはあんたでよかったって思ってるのさ。まぁ嫁に貰って欲しいってのも本心だよ、あたしとしちゃね。今日この目で見てどうしようもない男だったら叩き出そうかと思ってたけど、今のところは合格さね」
「弁護士を目指してる君にこういう事を今更言うのもなんだが、わしはカタギとは言い難い仕事をしている。もちろんそれが君の将来の希望の邪魔になるかもしれんが、それでも良いのかね?」
圭一は背筋を伸ばし、茜を正面に見据えて答える。
「期日はいつとは言えませんが、俺……私は詩音さんにずっと側に居て欲しいと思っています。ですからきちんと司法試験に合格し、身を立ててから改めてそのお話はさせて頂きたいと思います。それにご家族の職業が理由で資格を得られないというのなら違う道を模索するだけです。確かに弁護士になりたいというのは私の希望であり、夢です。ですがそれと引き替えに出来る程度の安い気持ちで詩音さんとお付き合いさせて頂いている訳ではありません」
「ふん、ほんまに受かったらちゅう話かい。そぉでも腹ぁ括ってるようやな」
「お母さん、そういう言い方はいけませんな。園崎の中にいる弁護士達だって、皆それなりに苦労して司法試験に合格し、研鑽を積んだからこそ今や、鹿骨どころか県でも有数の弁護士達と呼ばれておるのです。まだ圭一くんは若い。それに学生の身ながらきちんと自分の進むべき道を見つけ、それに向かって努力も怠っていないようです。その日を待ってくれと言うなら彼を信じて待とうじゃありませんか」
圭一が家族からの検分を受けている間中、詩音は落ち着き無く、そわそわしていた。
「それに詩音もこの人と決めたからこそ、こうやってわざわざ連れてきたんだろう?」
「は、はいっ!」
「うむ、わかった。もとよりわしらはお前が東京に行ってからはお前の人生はお前自身が決めるもんじゃと思っておる。人を見る目の無い娘だとも思っておらんからな。わしの稼業も気にせんというならわしが言うことはもうない」
「そうさね。あんたが選んで連れてくる男なら、よっぽど酷いのじゃなきゃあたしらは反対する気も無いよ。けどまぁ、出来れば入籍前にあたしがお婆ちゃん呼ばわりされないで済むようにして欲しいもんだけどね、あっはっはっはっは」
豪快に笑い飛ばす茜の言葉を聞いて、一瞬あっけにとられた後、その言葉の意味に気づいて爆発音を立てて、圭一と詩音は更に真っ赤になってしまった。
「ほんとに堅苦しい話はさぁ、これで終わりにしようよ。あたしが持たないよ、こんな空気じゃ、ぎゃははははは」
「魅音! ほんにお前はなんべんゆうたらわかるんじゃ! 人前ででかい口開けて笑い寄ってからに! 喉の奥まで丸見えじゃ!」
「うっ、ごめんなさい、婆っちゃ」
その後はお茶を飲みつつ、一家団欒という形で和やかに会話が進んでいった。
圭一は詩音の家族達に受け入れられたという安心感でいっぱいであった。
魅音や茜はいつになく、お魎の機嫌が良いことを喜び、詩音をからかい、圭一を赤面させ続けた。
「そういや、圭一くんは今日はどうするんだい?」
「はい、駅前にビジネスホテルがありましたので、そちら行こうかと思っています」
「なぁん、遠慮なんぞせんでもええ。どうせ部屋はあまっとる。こないな家で良けりゃ泊まってきゃええ」
「は、はぁ……しかし、その……」
言いよどむ圭一にすかさず茜がはやすように園崎家宿泊を勧める。
「婆さまが泊まっていけっておっしゃってるんだから遠慮するんじゃないよ。まぁさすがに詩音とは別の部屋に泊まって貰うことにはなるけどねぇ、あっはっはっはっは」
「お、おおおおおか、お母さん!!」
魅音が母に続く。
「そうそう、なんもないけどゆっくり泊まっていきなって。なんなら詩音の部屋までの案内図と合い鍵渡しとくから夜這いでも……」
「お姉ちゃんっ!!」
詩音の握り込んだ拳が厳しい一発となって魅音の顔面を捉える。
「あたたたた。やりやがったな、し~お~んっ!!」
「これ、魅音! 少しはおとなしくせんか! ほんとに誰に似たんだか……もう少しこう場の空気を読まんか!」
「ふぇ、すいませぇ~ん」
父親に一喝されて縮まり込む魅音であった。
「今夜はみんなで鍋でもつつこうかね。久しぶりにあたしが腕を振るうよ」
「茜、わしもちぃと手出すよって、邪険にせんとけ」
「おや、今日はお母さんもですか。良い酒が飲めそうだ」
「にゃははは。じゃ、あたしもご相伴にあずかっちゃおうかね。っとそれはそれとして晩ご飯まではまだ時間があるね。どうだい詩音、圭ちゃんを連れてちょっと付き合わないかい?」
魅音は圭一と詩音を誘ってどこかへ出かけたいようだった。
「私は良いですけど……圭ちゃんはどうしますか?」
「ん? 俺も予定ある訳じゃないし。構わないけど」
「決まり~っ! 今日はさ、礼奈が帰ってきてるし、学校も冬休みだから沙都子達も誘って逢おうって話になってんのよ、実はさ。で、ついでだから仲間連中にも詩音の愛しの圭ちゃんを紹介しとこうかと思ってねぇ、くっくっくっく」
「なんで、そこでそういう笑い方なんですか、お姉ちゃん! ほんとにもう、この人は……はぁ……」
立ち上がって居間の出口で振り返り、ウィンクしながら魅音は圭一と詩音に告げる。
「ちょっと待っててよ。みんなに電話入れてくるからさ。人数がちょっと多いから場所は……」
「まさか、エンジェルモートじゃないですよね、お姉ちゃん?」
「ピンポ~ン! 大当たりぃ~ あっはっはっは。あそこしかそんな人数がまとまって座れる店無いじゃんさ」
「え、エンジェルモートって……まさかあの時の!」
「おー、覚えててくれたんだ? さすが未来の弁護士様は記憶力も抜群だねぇ!」
一挙に表情が曇る圭一と詩音を尻目に意気揚々と予約と連絡をしに部屋を出て行く魅音であった。
「おや、圭一くんはエンジェルモートがどういう店か知ってたのかい?」
「はぁ、以前父と雛見沢を見に来た事がありまして。その時に偶然魅音さんに連れて行って貰った事が……」
「その表情を見ると、圭一くんはああいう店は苦手かい?」
「正直、苦手です。料理もデザートも美味しかったのですが……その、目のやり場に困るというかその……」
「おやま、なんていう今時珍しい純情っぷりだい?! もっともそれくらいの方が浮気しないから詩音も安心ってもんさね、あっはっはっはっは! あたしゃますます気に入ったよ」
あくまでも豪快な笑いの茜と困り果てた表情の圭一と詩音。
「やっぱり魅音は茜に似ちまったんだな……はぁ……」
「何言ってんだい! あたしに似て美人に育ったんだからこんないい男引っかけられたんだよ? あんたに似てたら婿捜しであたしも婆さまも疲れ果てて、婆さまにお迎えがきちまうよ! あたしだって早死にしちまうってもんさね」
夫婦のやりとりを見つつ圭一と詩音は小声で会話を交わす。
「け、圭ちゃん……うち、こんな家族だから……ご、ごめんなさい」
「大丈夫……親が変なのはウチの親父で多少の免疫は……多分」
「(詩音さんもいずれはお母さんのようになっちゃうのか? うーん……俺、尻に敷かれちゃうのかな……)」
「(ああ、もうっ! なんでこう言うときだけ自然体なんですか、うちの人間は誰も彼も! はぁ……絶対に圭ちゃんに引かれてる気がします……)」
「予約も連絡もオッケーだよ。さぁ出かけようか!」
戻ってきた魅音が一瞬天使に見えた詩音であった。
「みんなも噂の”圭ちゃん”に興味津々だよぉん、くっくっくっく」
「(訂正……やっぱりお姉ちゃんは天使じゃなくて悪魔ですよ、絶対……はぁっ……)」
「ん? 詩音なんか言ったかい?」
「いえいえ~、それじゃ出かけましょうか。あ、圭ちゃんの荷物どうしましょう?」
客間へお手伝いの妙子さんに運ばせとくからこのままにしときなという茜の声に送られて、圭一と詩音、魅音は連れ立って出かけていった。
エンジェルモートの一角に騒がしい声が響く。
「ごめんなさい、ちょっと遅くなっちゃった」
「いいっていいって、気にしなさんなって。さて紹介するよ、今来たのが竜宮礼奈、雛見沢時代からのあたしの仲間。こっちにいるのが、例の詩音の彼氏な前原圭一くん!」
「ちょ、ちょっとお姉ちゃん!」
「ど、どどうも、ただいまご紹介に預かりました前原圭一です。えっとその、旦那さんとかってのは魅音さんの勘違いというかその……」
「んもう、魅ぃちゃんも相変わらずだなぁ……あ、はじめまして竜宮礼奈です。今は穀倉のデザイン学校に通ってます。詩音さんも久しぶりです。」
「あ、お久しぶりです、礼奈さん」
竜宮礼奈は冬休みということで久々の帰省であり、詩音とは1年振りの再会であった。
「となると後は、悟史・沙都子の兄妹と梨花ちゃんかな」
「梨花ちゃんも来るんだ?」
「あー、声掛けたよ。心配無いって! 今じゃ沙都子ともそれなりに上手くやってんだからさ」
そうこうするうちに悟史達が到着した。
「ごめんごめん。公休だったんだけどちょっと出かけてたからさ」
「まったく、お兄ちゃんも時間にルーズなのは相変わらずよね。あ、詩音さんお久しぶりです」
「沙都子ちゃんも悟史さんもお久しぶりです」
魅音は圭一に悟史達を紹介する。
「北条悟史とその妹の沙都子。やっぱりこの二人も雛見沢時代からのあたしの仲間。この彼が、本日めでたく、詩音の未来の旦那と認定された前原圭一くん!」
「あ、どうも。前原圭一です。よろしくお願いします」
「北条です。こちらこそよろしく。ここで役場の職員をしています」
「沙都子です。魅音さんからお噂はかねがね、あははは。えっと私は今、興宮高校在学中です」
「(ど、どういう噂になってんだ?)」
「(お姉ちゃん、いったいみんなに何吹き込んでるんですか?)」
そして最後にもう一人がやってきた。
「お母さんの手伝いがなかなか抜けられなかったから遅くなったわ。ごめんなさい」
「年末近いと神社は忙しいからねぇ。今来たのが古手神社の跡取りの梨花ちゃん。こっちが詩音の旦那の前原圭一くん」
「どうも、前原圭一です……ってなんで紹介の度にどんどん先走った話が決定事項になってくんですか?!」
「あっはっはっは、ごめんよぉ。なんかあたしもうれしいからさぁ」
「古手梨花です。興宮高校の学生」
めいめいがオーダーした飲み物やケーキが運ばれてきて会話が弾んでいく。
「で、詩音さんと前原さんは運命の出会いだったって魅音さんに聞かされたんですけど、ほんとうなんですか?」
唐突な沙都子の質問に圭一は口に含んだコーヒーを吹き出しかける。
「ぶっ……えっとそのウチの学校の文化祭に詩音さんが偶然来て、たまたま詩音さんを連れてきた人が俺の先輩の彼女さんだったので……」
改めて出会いの経緯を説明しながら、圭一はテレ臭いのかどんどん顔を赤くしていく。
もちろん、隣に居る詩音も既に熟れたトマトもかくやな状態であった。
「それで今じゃ、詩音、圭ちゃんと呼び合う熱々カップルな訳よ。ついでに今日、うちの父さん母さんどころか婆ちゃにまで認められて晴れて今日から将来を誓い合う婚約者って奴だね」
「お、お、おお姉ちゃん!! それに圭ちゃんは私を呼び捨てたりしません!」
「はぁ、なんかロマンチックで良いねぇ。私もそういう出会いってあるのかなぁ。なんか詩音さんがうらやましいよ」
「心配すんなっての。礼奈だって可愛いんだからすぐ見つかるって」
梨花が圭一に向かってぼそっと零すように告げる。
「帰るまでに一度、うちの神社にお参りしていきなさいよ。こんな田舎の小さい神社だけど縁結びの効能はあるらしいから」
「は、はぁ……(この子、なんでこんなに無愛想なの? 俺嫌われてる? 微妙にへこむな……)」
「梨花ちゃんも相変わらずって言うか……せっかく可愛いのにもう少し愛想良くしたらいいのにさ」
「ほんと。学校でも『氷の女』とか言われて男子に怖がられてやんの、あはははは」
「沙都子! そういう言い方やめなさいっていつも言ってるだろ?」
「ごめんなさぁ~い」
相変わらず、微妙な仲ですねと詩音は思うのであった。
会話が進む中、魅音と詩音が圭ちゃんと呼ぶ毎に場の空気が少しづつ変わっていくようであった。
「なんだろ? 前原さんってずっと前から知ってた気がするよ」
「そうですね。なんかずっとずっと以前からの知り合いみたい」
「不思議だなぁ。言われてみると確かにそういう気がするね」
「そうね」
初めて出会った時を思い出して詩音も同意する。
「そうなんです。だからその私も初めて会った時にそう思って……」
「それでコロ~っとやられちゃった訳だ、詩音は」
「お姉ちゃんってば!」
話題を切り替えようと悟史は圭一に話しかける。
「えっと、前原くんは今まだ大学生だよね? 将来とかどうするの?」
「一応、司法試験合格目指してます。弁護士になろうと思ってますから」
「うわっすごいね。頭良いんだね」
「大学もレベルの高い大学だから当たり前でしょ、礼奈さん」
圭一は弁護士を目指すきっかけになった出来事を話す。
「え、それじゃあの時がきっかけだったんだ?!」
「ええ、そうです」
「そう、雛見沢のような所を守れる力が欲しいんだ……オヤシロ様も喜ぶわねきっと」
圭一がみんなに尊敬のまなざしで見られ、何か我が事のように誇らしくうれしい詩音であった。
すっかり打ち解けた圭一を交えてワイワイと会話が弾むうちに夕刻となった。
「おっと、それじゃあたしと詩音と圭ちゃんはそろそろ家族で食事だからおいとまするよ」
「ありがとう、皆さん集まってくださって。久しぶりでとっても楽しかったです」
「急にお邪魔する事になってすいませんでした。これからも機会があれば仲良くしてください」
「「「「もちろん」」」」
先に店を後にした圭一、詩音、魅音を見送った後、残された面々はもう少し話していくことにした。
「さて、詩音さんにあれほどの素敵な人が出来たし、後はお兄ちゃんと魅音さんね」
「さ、沙都子、何を言ってんだよ」
「ダメだよ、誤魔化しちゃ悟史くん。私だって次は魅ぃちゃんと悟史くんだと思うから」
「そうね、式は古手神社で神式でやりなさいよ。安くしておくから」
女の子3人に詰め寄られて悟史の分が悪いようであった。
「むぅ……困ったなぁ」
「何を困ることがあるのよ! 魅音さんに逃げられたらお兄ちゃんみたいな人は一生後悔する事になるんだから!」
「あははは、沙都子ちゃんも大げさだよ。うん、でも悟史くんがはっきりしてあげないと魅ぃちゃん可哀想だよ」
「幼なじみがそのまま育って、結婚するなんて雛見沢や興宮じゃ普通の話じゃない。何よ、あなたは彼女が嫌いなの?」
梨花の厳しい遠慮のない言葉に悟史もつい本音を漏らしてしまう。
「そんな事無いよ、魅音はいい子だし素敵な女性だよ。けど、まだ早いってば」
「だったらとりあえずちゃんと交際申し込むくらいしてよ、お兄ちゃん」
「え? もしかしてまだそういう話まったくしてなかったの? 私もうすっかり恋人くらいにはなってると思ってたのに」
「……」
あまりの状態に呆然となる彼女達であった。
「とりあえず、今日は家に帰ったらじっくりお兄ちゃんの本音を聞かせてもらうから!」
「あははは、あまりいじめちゃダメだよ、沙都子ちゃん」
「やれやれってところね……」
「なんで僕がこんなに言われなきゃならないんだろ……」
「「「はっきりしないからでしょっ?!」」」
「は、はい……」
圭一と詩音の結びつきはより強く高まっていく事でしょう。
そして雛見沢の仲間達は欠けていた最後のピースに出会いました。
圭一と詩音の出会いと結びつきは運命の流れを大きく変えていくことでしょう、これからも……
縁を結ぶとは男女の縁だけに非ず。
友情、友愛の絆もまた縁。
雛見沢の子らよ……そなた達は常にこのオヤシロ様の加護の元にある。
幸多き未来を良き縁によって得られんことを祈ろうぞ……
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