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伏龍鳳雛's 二次創作

2009/06/12(金) 夏遠からじ Part4

はてブ情報 はてブに登録 はてブ数 2009/06/12 16:58 部活メンバー伏龍鳳雛

ということでようやく、当日へw

ちょっと次週から月内一杯、タイトな仕事が入っちゃいましたので、月内の更新は厳しくなるかもです。
とりあえず息抜きで発作的に短編書く場合もありますが……

そんな訳でPart4をどうぞ

「よ~し、全員揃ってんな? そんじゃしゅっぱ~つ!」

昭和59年の初夏の日曜、ここ雛見沢の一角に少しばかり騒がしい集団がいた。
雛見沢分校の生徒一同と卒業生ながら何故か参加している園崎魅音、その双子の妹である園崎詩音、引率の担任教師である知恵留美子、クラス委員長である前原圭一の両親、その他生徒の父兄数人の一行である。
目的地は高津戸の外れ、山間を流れる高津戸川の少し開けた河原である。

元々は圭一が言い出した部活メンバーによるディキャンプだったはずだが、気が付けば分校全体の遠足となっていたのだった。

「ふー、しかし天気が良いのはうれしいけどこりゃ暑いな……去年もかなりのもんだったけど今年も暑くなりそうだなぁ」

先頭を歩く圭一は、首に掛けたタオルで額を拭って、隣を歩く魅音、クラス副委員長のレナに声を掛けた。

「あっはっはっは。1年経ってもまだまだもやしっ子の圭ちゃんには厳しいかもねぇ」
「魅ぃちゃん、ひどいなぁ。でも、着いたらきっと川の水が冷たくて気持ち良いんだよ、だよ? がんばろ、圭一くん」

中段あたりにいる詩音と部活メンバーの北条沙都子、古手梨花、古手羽入の四人も元気よく会話をしていた。

「沙都子、大丈夫ですか? 喉は渇いていませんか? 疲れてるなら遠慮無く言ってくださいね」
「し、詩音さん! そんなすぐに喉が渇いたり疲れたりしませんでしてよ! それにわたくし、そんなにひ弱ではありませんわっ! 圭一さんならともかく!」

朝から詩音は沙都子にべったりくっついて世話を焼いている。
端から見れば微笑ましい姉妹のようではある。
ともすれば、度が過ぎるほど世話を焼きたがる詩音に沙都子は迷惑そうなそぶりを見せるが、その実うれしくてたまらないのが伝わってくるほどであった。

「詩ぃも相変わらずね……沙都子を完全に取られてしまった気がしておもしろくないわ」
「最近、詩音は沙都子と過ごす機会が少なくて寂しいのですよ。沙都子だって喜んでいるのです。梨花はヤキモチも大概にしやがれなのですよ」
「あんたね……いいわ、お昼のカレー、あんたのだけ知恵の専用激辛ルーに差し替えてやるんだから」
「ひどいのです、ひどいのです! 梨花が朝っぱらから思いっきりどSな振る舞いなのです! 僕に八つ当たりは辞めて欲しいのです!」

そうこうするうちに先頭の圭一が後ろを振り返り、全体を眺めて足を止めた。

「よっしゃー、ここでちょっと行軍停止! そこの木陰で少し休憩するぞー」

雛見沢分校は下は小学校から上は中学生まで混在している為、まだ小学校低学年の子供たちも数人いた。
圭一は一見すると元気そうだがかなり発汗している子を見つけた為に軽い休憩を取ることにしたのであった。

「やれやれ、我が子ながら情けないほど体力が無いな、圭一は……普段運動不足の父さんでさえまだまだ元気一杯だと言うのに」
「いやー、体力だいぶ付いたと思ってたけど、まだまだひ弱だな、俺も。息上がっちまったぜ、休憩休憩」

父親の伊知郎にぶつくさと言われながらも圭一は木陰で汗を拭き、水筒のお茶を飲んでいた。
母親の藍子はレナや魅音の所にやってきていた。

「うちの人が文句言い出すのも無理無いわねぇ、この程度歩いただけで息が上がっただなんて」
「だめですよ、おばさままでそんな事言ってたら。圭ちゃんは自分が休みたいって事にして小さい子に水分取らせて休憩させてるんですから」
「あら? ほんとだわ! 気が付かなかったけど、小さな子達はけっこう汗をかいてるわね」
「こういうところ、圭一くん凄いと思いますよ、おばさま。全体をちゃんと見て、休ませた方が良いと判断したらちゃんと休みをとるんです。私とかは見落としちゃう事もちゃんと圭一くんは見てるんですよ」

普段の学校内でも圭一は常に全体を見通すようにしていた。
自身が過去に味わった孤独感や挫折感のせいなのか、参加者全てに気を配り、孤立したり無理をしたりすることがないようにしていたのである。

「こうやって全体を見渡して気配りが出来るんなら、もう少しレナちゃん達にも気を配れば良いのにと思うのよね、母親としては……ごめんなさいね。きっと圭一の事だから相変わらずあなた達には無神経な振る舞いしちゃってるんでしょ?」
「そんなことはないかな、かな。たしかにちょびっとだけ、直して欲しいとは思いますけど圭一くんそんな酷くないですよ」
「まぁそれだけあたしらは圭ちゃんに信用されてるっていうか、気をつかわなくて済むって事だと思うようにしてます」

こういう場だから言えないけど、いい加減、圭一にはあなた達の気持ちに気が付いて欲しいのよね、ほんとうにごめんなさいねと藍子は声に出さず、レナと魅音に内心詫びた。

「すみませんね、皆様には急にこんな事になってお手間を取らせてしまって」

父兄のところへ赴いた知恵が改めて今日の件について快く協力してくれた事への礼を述べていた。

「なぁ~に知恵せんせ、気にしとったらいかんよ。それにそもそも前原さんとこの坊主が来て以来、ウチの子も分校行ったり行事に参加したりするのを楽しみにしちょるんよ。この程度の手間、そういう事のお礼やと思えば大したこたぁないんよ」
「そうそう。前はどれだけ言っても宿題すらいい加減だったうちの子なんて、圭一くんを見習うとか言って空いた時間に本を読んだり予習復習きちんとするようになったんですよ」
「そうだな、家の手伝いやら勉強やら野球やら出来ること全部に一生懸命になるようになったんは圭一くんのおかげやな」

口々に圭一の存在に触れる父兄を見て、改めて圭一の存在が分校の雰囲気を大きく変えている事を実感する知恵であった。

「よーし、休憩終了! もうあと少しだから全員頑張れよ~! と言っても俺が一番頑張らないとまずいんだが、がははは」

全体に笑いが零れ、元気よく立ち上がった一行は目的地へとさらに歩いて進んでいった。

休憩をその後2度ほど挟んでお昼前に目的地にようやく全員が到達した。

「よーし、とりあえず部活メンバーと魅音、詩音は飯の支度を手伝ってくれ! 知恵先生と父兄の皆さんは小さい子が川で危ない目にあわないように監視とかをお願いします。お前らちゃんと川縁だけにしとけよ! 危ないから中へ入っていったりするな~!」

圭一の号令で子供たちは一斉に嬌声を上げて川へ突入していく。

河原にはワゴン車で材料やバーベキュー、飯盒などの道具を持ち込んだ葛西辰由が待っていた。

「用意はできております」
「すいませんね、なんか葛西さんに一番面倒な事やらせちゃってるみたいでちょっと気が引けます」
「お気になさらず。こういった事でなら喜んでいつでも協力させていただきます」

「さて、まずは米研ぎだな」
「圭ちゃん、結構量が多いからみんなで手伝うよ」
「ん~基本的には俺がやるから食器洗ったりとかバーベキューの用意の方頼むよ。カレーとご飯は俺が出来るだけ一人でやりたいんだ。なんと言ってもこいつは俺からみんなへのお礼みたいなもんだからさ。」
「でも、大変そうだったらちゃんと言ってね。圭ちゃんの気持ちはあたしらすごくうれしいけど、だからって無理や無茶されるの、心苦しいからさ」
「おう、わかってるよ。困ったときは素直に相談! そいつが俺たちの基本ルールじゃねぇかよ」

決して手際が良いとは言えないが、圭一はせっせと全員分の米を研ぎ、飯盒炊飯の準備を進めて行く。
と同時にカレーの準備にも入っていくのであった。

藍子の書いたメモを頼りにしながら、悪戦苦闘して野菜を切り、肉と共にフライパンで軽く炒め、大鍋に投入。
一回で全員分は無理なので野菜を炒め、大鍋に投入を繰り返していく。
野菜は大きさも形もバラバラで決してキレイに下拵えが出来たとは言い難い。
しかし、一個一個は圭一が真剣に取り組んで危なっかしい包丁捌きながらなんとか用意したものである。

バーベキューの用意などをしながらも、横目でそれをチェックし続ける部活メンバー達であった。
圭一に大して思い入れの無い詩音を除けば、全員が圭一の手作りカレーから目が離せないでいた。

大鍋に人数分の具が投入されたのを確認するとこんどは水を差し、大鍋を加熱して煮込んでいく。
合間に飯盒の情況を確認しつつ、鍋の煮え具合のチェックも欠かさない。
そしてもう一つ、中サイズの鍋に材料を投入して同じように準備。合計で2個の鍋がカレールー投入を待っていた。

そのうち、バーベキューの準備も整い、大中二つの鍋もカレールーを投入するのみとなっていたが、そこで圭一の手が止まっていた。

「ふー、ここまではOKっと……この先が一番問題なんだよな……」
「どったの、圭ちゃん? なんか困ってんの?」
「いや、この後は市販のルーを投入して軽く煮込めばOKなんだがな……」
「うん」
「ルーのパッケージを開けてカレーの匂いが漂った瞬間に知恵先生がやってきて、面倒な事になりそうな予感が……」

知恵を知る人なら全員が知っている。
カレー好き、カレー崇拝者、カレーの伝道師。
カレーに関してのみ暴走する知恵を止める手段など皆無に等しい。

「はう……そうだね、だね。知恵先生止めないと圭一くんのカレーじゃなくて知恵先生のカレーにされちゃうよ」
「それに知恵だったら一人でこの大鍋一杯分を平らげかねないのです、みぃ」
「対策を立てないといけませんわね。さすがのわたくしのトラップも知恵先生には僅かな足止めくらいしか効果が期待できませんことよ」

全員が額を付き合わせて対策を練っていた。

「羽入、あんた川に飛び込んで溺れなさいよ。そうしたら流石に知恵だってあんたを助ける事に専念するわよ」
「り、梨花ぁ? な、何を言ってるのですか?! もし万が一知恵が僕よりカレーを優先したらどうするのです!」
「あんたの命とカレーだったら微妙だわね……」
「あうあうあうあうあう、梨花が黒いのです、酷いのです、冷たいのです! 僕は梨花の育て方を間違ってしまったのですぅ!」

「よし、それじゃぁ『圭ちゃんのカレー死守作戦』を決行するよ! レナはここで知恵先生防衛の最終ラインを引く、詩音はあたしと第二次防衛ライン構築! 葛西さんにも手伝って貰うよ。沙都子はトラップで第一防衛ライン! 梨花ちゃんと羽入は沙都子の補助と知恵先生の気を出来るだけそらして」
「了解でございますわ!」
「ボクたちだけでは心許ないので富田や岡村にも協力して貰うのです」
「いざとなったらウチのバカ親父とかを盾に使ってくれ! 頼むぞみんな!」

「おーっ!」
各自、作戦を決行すべく動き出した。

レナは藍子の元へ赴き、世間話を装って藍子を知恵の元へ向け、会話によって時間を稼ごうと考えた。

「おばさま」
「あら、レナちゃん」
「圭一くんの事で、知恵先生に相談する事とかもしあるんだったら今が良いと思いますよ」
「そう?」
「はい。普段分校にいる時は知恵先生は忙しいので気軽に相談するって訳に行かないと思いますけど、今なら校務を離れてのんびりしていますからチャンスだと思います」

そうね、ちょっと相談したいというかゆっくり一度お話したいと思っていたのよねと良いながら藍子は知恵の元へと向かっていった。

詩音はいつもの如く、葛西を利用しようとする。

「葛西、ちょっと良いですか?」
「なんでしょうか、詩音さん」
「ちょっと知恵先生のところまで行って、口説いてきてください」
「は?」
「知恵先生がカレーの匂いに反応してこっちにくると困るんです。沙都子のトラップやお姉とわたし、レナさんで三段構えの防衛ラインは引きますが、それだけでは心許ないんです。だからまず、葛西がなんとかして知恵先生を足止めしてください」
「はぁ……しかし、その私が知恵先生を口説くというのは?」
「独身男が独身女性を美しい自然の中で見初めて、求愛するのは当然の行動です。誰も怪しみません。だからそうしてください」

詩音から無理難題を押しつけられて困惑しつつ、逆らいきれない葛西は知恵の元へと向かった。

「伊知郎、ちょっと良いですか?」
「おや、梨花ちゃん? どうしたんだい?」
「伊知郎は知恵をどう思いますか?」
「すてきな女性だねぇ、凛としてしてて、知性も感じられるしね」

梨花は葛西が失敗することを見越して伊知郎を使って知恵の足止めを計ろうとしていた。

「モデルになって欲しくはないのですか?」
「うーんそうだねぇ……知恵先生がモデルかぁ……創作意欲は確かに湧くねぇ」
「今ならきっと知恵も開放的な気分なのです。お願いするなら今が良いとボクは思うのですよ、にぱ~★」

その気になった伊知郎が知恵の元へ向かうのを確認した梨花は黒い笑みを浮かべた。
「これで数分は稼げたわね……」

沙都子と羽入は富田と岡村の助けを借りて、トラップによる防衛ライン構築を急いでいた。

圭一は今が好機とカレールーのパッケージの蓋を開ける。

果たして部活メンバー達はカレー魔神知恵から圭一のカレーを守り抜くことが出来るのか?
ギラつきを感じさせる、もっとも高い位置に達しようとする太陽がそれを見守っていた。

続く

1: 砂漠の塵 URL 2009年06月16日(火) 午後11時06分

ありゃ?いつの間にやらPart4?そんでこれ…おもしろいっす♪やっぱり軍師様のは面白くて安定感ありますね。防衛ライン突破に何分かかるのか(何秒?)めっちゃ気になりますですwww


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