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伏龍鳳雛's 二次創作

2009/01/18(日) 絆結び編 ~TIPS~ 『雛見沢』

はてブ情報 はてブに登録 はてブ数 2009/01/18 15:22 絆結び編伏龍鳳雛

ということで連載「絆結び編」のTIPS一本目です。

雛見沢に残った人々の視点からの物語。

それではどうぞ

「そう、じゃゴールデンウィークは寄り道してくるのね?」
「うん、そうなんだ。予定だと2泊になるのかな。でも家にはちゃんと帰るから」
「はいはい、わかりましたよ。その先輩方とか稲羽の方にご迷惑掛けないようにね? それから魅音ちゃん泣かしたりしたらダメだわよ?」
「わかってるって! じゃそういう事だからさ」

ゴールデンウィークの予定が変わったことを前原圭一は電話で実家の母親に伝えたところであった。

母、藍子はやれやれと思いつつも、東京でそこまで親密になれる新たな友人に我が息子が巡り会えた事をうれしくも思っていた。

「誰からだったんだ?」
「あぁ、圭一からよ。ゴールデンウィーク、こっちにまっすぐ帰ってくるんじゃなくて東京で出来たお友達に誘われたから稲羽の旅館に泊まってから来るんですって」

夫の伊知郎が電話は誰からだったのか訪ねてきた。

「ほう、稲羽か。一度しか行ってないところだが割と良いところだったぞ。いつかはあそこにあるという老舗旅館の天城屋だったかな? あそこに泊まってみたいと思ってるんだが。なかなか機会に恵まれないんだよ」
「あら? 圭一が泊まるのはその天城屋さんだって」
「なんだとっ?! おのれ、圭一め! この父たる私ですらまだ一度も泊まっていないというのに! しかもあそこは高校時代から美人の女子高生女将として有名、今では女子大生女将と言わ……ぷべらっ!」

いつものノリで延々と萌を語り出しそうな夫を手近にあったトレイで制裁して沈黙させる妻であった。

「圭一にこんな短い期間で心許せる新しい友達が出来るなんて……やっぱり雛見沢に来て良かったわ。でもそれもこれも魅音ちゃん達のおかげかしら? あの子が魅音ちゃんと付き合うようになったなんて聞かされた時はびっくりするよりもうれしかったものだけど……ふふ。大丈夫よね? 私達の息子だもの。魅音ちゃんを泣かせるような事だけはしないでくれると信じてるわよ、圭一!」

 

同じ頃、園崎魅音の実家、園崎本家にて。

「誰ぞからの電話や?」
「あぁ魅音からだったよ。こんどのゴールデンウィーク、ちょっと新しく出来た友達と稲羽によってから来るんで予定の半分しか帰れないってさ」
「なんじゃ、圭一と二人きりじゃないんけ?」
「あっはっはっは。あの子がそんな行動に出られるんだったらあたしも婆様も気を揉む必要なんかないだろ?」
「ちげねぇ」

魅音からの連絡を受けた園崎茜が母、お魎に事の次第を伝えていた。
過去には園崎明王だの園崎天皇だのと言われていた頃の面影が微塵もない、険が取れた穏やかな顔を見せる母、お魎の表情を見ながら茜も微笑む。

いつの頃からだったろうかと茜は思う。
苦虫を噛み潰したような顔ばかりしていた老いた母が自分がずっと幼い娘であった頃のように優しい笑顔を見せるようになったのは。

「そうか、圭一くんが顔を出すようになった頃からだねぇ」

最初は雛見沢分校での娘の魅音の友人として、仲間としてだった。
引っ越しの挨拶もろくにできん、親の産んだ子なんぞと言っていたのだが、本人に会い、いくつかの出来事を経ていくうちにお魎が圭一をいたく気に入ったのである。
また、茜も同様に圭一を気に入っていた。
魅音も圭一に心を寄せ、幾多のライバルに勝利して圭一の心を掴んだと知ったときにはお魎と茜は快哉を叫び、母子二人で密かに祝杯を挙げたものだった。

今も思い出す。
圭一が魅音との付き合いを認めてくれとやってきた日の事を。
突然、魅音に呼び出され、お魎と共に圭一を出迎えたあの日を。
正座し、意を決した面持ちで自分達をまっすぐ見つめるまなざしと平伏しながらも張りのある良く通る声で圭一が語った言葉を。

自分が園崎本家次期頭首である魅音と釣り合うかどうかなんて自分にはわからない。
しかし、自分が見ているのは同世代の少女としての魅音であり、園崎本家の次期頭首であるかどうかなど関係ない。
今の自分にとってもっとも大切な異性であると。
前原圭一という人間に、不満はあるでしょうが、必ず認めていただけるようになる為の努力を惜しみません。
交際を許して下さい。
と圭一はあの時言った。

その言葉がどれほど自分とお魎にとってうれしい言葉であったか、圭一が気が付く事はあるのだろうかと思い、茜は再び笑みを零す。

愚直で突貫坊やで、義理堅くて、いつでも一生懸命で、何に対してもバカの一つ覚えみたいに正面から、か……。
若いし青臭いねぇ、あっはっは。
けどそんな男に弱いのさ、園崎の女ってぇのはね。

「それじゃぁあの子等が帰ってくる日には前原さんとこのご一家も呼んで食事でもするかい、婆様」
「そうじゃの……」

柔らかな母の笑顔がうれしい茜だった。

 

同日、北条家にて。

「という事なんですって、にーにー」
「そうなんだ。こっちに居られる日数が減るのは残念だね、沙都子」
「でも、帰ってこない訳ではありませんもの。当日はどんなお出迎えをしましょうかしら? 今から楽しみ!」
「むぅ……あんまり、無茶苦茶な事しちゃダメだよ?」

魅音からの電話の内容を説明しながら当日へ思いを巡らす沙都子に苦笑いをするしか無い悟史であった。
それでも、妹のうれしそうな笑顔が見られるのならと、きっとトラップで酷い目に遭うであろう圭一に心の中で詫びる悟史であった。

 

同じく古手本家にて。

「梨花ぁ? 誰からだったのですか、電話は?」
「圭一からだったわ。ゴールデンウィークの帰省、予定がズレるそうよ」
「あう……それで機嫌が悪くなったのですね?」
「当たり前じゃない。高校行っても刺激が無くて退屈なのよ、あの二人とレナが居ないんだから。久しぶりに全員揃ってのバカ騒ぎをどれだけ待ってると思ってるのよ?」

圭一からの電話を終えた瞬間から機嫌の悪そうな古手梨花と心配そうな羽入。

「あんたは良いわよ、1年だけでも圭一達と同じ時期に同じ高校に通えたんだから」
「仕方ないのです。年齢で学校が違ってしまうのは当然なのです」
「それに気に入らないのよ、私が身長ばっかり伸びてるのにあんたといい、沙都子といい、スクスクと胸まで育っちゃって! 私だけ置いてけぼりじゃないっ! 不公平なのよ、同じような食事してて差が付くなんて!」
「梨花は辛いモノの食べ過ぎと子供のくせにワイン飲んだりするからなのです! 天罰てきめんなのです!」

羽入の言葉でさらに不機嫌になった梨花は”懲罰用激辛キムチ”と書かれた瓶を取り出し、むさぼり食う。
悲鳴を上げてのたうち回った後、羽入はぐったりとする。

「癪に触るわね……帰ってきたらあの二人、どう弄ってやろうかしら? あんた達が居ないと本当につまんないのよ……早く帰って来なさいよね!」

 

みんなの中心にいた圭一と魅音。
そしてレナ。
三人の帰省と再会をみんなが待ちわびていた。
まもなくゴールデンウィーク。
久しぶりに揃うであろう時間を仲間全員が楽しみにするのであった。


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